●Martin Simpson: Leaves of Life
Ervinの工房で修行をしていたとき、何人かに素晴らしいギタリストと出会うチャンスがあった。マーティン・シンプソンもその中の一人。1999年当時は、カリフォルニアからニューオリンズへと移り住んでいたが、ベイエリア(サンフランシスコ近辺)でイベントがあると、Ervinのところへいつも顔を出してた。英語特有の表現ではあるが、Ervinはマーティンのことをとてもリスペクトしていて、「彼と同じ空気を吸っていると思うだけで、光栄だ」」といつも言っていたことを思い出す。
イングランド生まれのマーティンは、ケルト音楽など、伝統的なものをベースにしつつも、アメリカのブルースやカントリーの要素も加えた独特のスタイルを作り上げた。最初に手にしたのはバンジョーで、時折、弦をはじくようにしてパーカッシブな効果を狙ったギターの弾き方も、クローハンマースタイルというバンジョーの奏法を元にしたものだという。ちょっとダミ声っぽいボーカルも魅力的だが、やはりすごいのはギター演奏そのもの。情感のこもったスローな曲から、クローハンマーを駆使したドライブ感あふれるものまで、とても多彩でまったく飽きさせることが無い。本作は、Shanachieレーベルから出した最初のアルバムで、ギターの魅力を前面に押し出したもの。ちなみにエリックの演奏しているViolectとMandolectとは、彼のオリジナルデザインの楽器で、エレクトリック化をした、バイオリンとマンドリン。いずれも、エリック自身が製作したものだという。
現在は、ニューオリンズを離れ、再びイングランドを拠点に活動をおこなっているマーティン。奥さんのジェシカとのおしどり夫婦ぶりも、とても素敵で、一緒に演奏しているアルバムもいい。彼の演奏を聴くと、「天賦の才」の意味がしっかりと伝わってくる。
コメント
いまだにまともにCDを聴いたことはないのですが、2000年頭にマッケイブスでライブを観たことを思い出します。さまざまなスタイルをうわべではなく吸収されているようで、その力強さに感動しました。そのときの迷いを吹っ切るいいきっかけになりました。Thanks Martin!
Posted by: 竹内いちろ | May 9, 2006 07:38 PM
>竹内いちろさん
いらっしゃいませ。
マーティンは本当に存在感のある演奏をしますね。アメリカのゴスペルものだけをやっているアルバムもあったように記憶しています。
いろいろなスタイルを、真似ではないマーティン自身のものにしているというのは同感です。
会って話をすると、とてもやさしくて思いやりのある人で、すっかり魅了されてしまいます。また、ライブを見たい人の一人ですね。
Posted by: Ken | May 10, 2006 09:58 PM