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May 16, 2006

●Noa & Gil Dor: Live

Noa_live.jpg

Noa (vo, g, per)
Gil Dor (g)

 イスラエルの歌姫、ノアは本名Achinoam Nini(アヒノーム・ニニ)、1969年テル・アビブ生まれ。生まれてまもなく、家族そろってニューヨークへと移住し、8歳頃から作曲活動を始めたという。その後、ハイスクール在学中に、生まれ故郷のイスラエルに戻り、音楽活動に本腰を入れていく。
 90年代に入り、本作でも競演をしているギタリストのGil Dorと出会ったのが、彼女にとっての大きなターニングポイントとなったようである。Pat Methenyと知り合ったギルはノアを彼に引き合わせ、当時パットが在籍してたGeffen Recordsから『Noa』をリリースするきっかけを作る。このアルバムは、パットと、パット・メセニー・グループ(PMG)の中心メンバーでもあるベーシストのスティーブ・ロドビーがプロデュースを行い、ライル・メイズも参加しており、PMGをバックにノアが歌うといった感じの仕上がりになっている。

 『Noa』は国際マーケットへと登場し、私も東京のCD専門店で"お薦め盤"として紹介されていたので、初めて目にしたわけである。当時は、かなりパット・メセニーに入れ込んでいたため、ノアという歌手よりもPMGメンバーの演奏に注目していたのだが、クリアーながらパワーもあるノアの声は惹きつけてやまないものがあった。

 その後も、お店でノアの名前を見つけるとなるべく手にするようになっていたが、ギタリストと二人での共演盤ということで、期待を膨らませつつ本作を購入した覚えがある。その期待を裏切ることなく、ギルのギターと、時折ギターやパーカッションも演奏するノアのボーカルというシンプルな構成ながら、伸びやかな歌声は魅力がいっぱいだ。突然ひずんだ音のギターで ジミ・ヘンドリックスのフレーズを弾くギルの遊び心にも思わずニヤリとさせられてしまう。ヘブライ語で歌われるオリジナル曲はもちろんのこと、ビートルズのナンバーやマドンナの曲なども、完全に自分のものにして、新しい姿に歌い上げている。

 日本盤が発売された95年以降、しばらくはノアの作品は簡単に入手できたが、残念なことに、本作を国内で入手するのは難しいようである。ちなみに本作は1991年の録音で、『Noa』よりも古い作品である。少し探してみると、ジャケットデザインは違うが同じ内容のアルバムがアメリカの通販サイトで入手できるみたいだ。2005年にはギルと弦楽四重奏の演奏をバックに歌ったコンサートのDVDも出ているようで、いずれチェックしてみたい。

 ノアに関する情報は、なかなか日本に入ってこないが、このアルバムのようなシンプルな編成でのライブをぜひとも見てみたいものだ。

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Noaとしてのデビュー・アルバム。 以前は本名Achinoam Nini(アヒノーム・ニニ)でアルバムを出していたらしいのですが、私が知ったのはこのアルバ... [Read More]

コメント

98年頃ギター2本、ベース、ボーカルの編成で「NOA」からの数曲をよくライヴで演奏していました。
大きな空間を感じさせる和声の処理などなかなか”そんな感じ”にならない何かがありますね。残念ながらこのライヴ盤はまだ耳にしてませんが「NOA」は今でもよく聴きます、心地よいですね。

>いちろさん
いらっしゃいませ。
『Noa』の方が、サウンドの完成度は高いと思います。よくよくチェックしてみると、パットはプロデュースとコーラスのみの参加で、ギターはギルが担当しているのですね。
もちろんノアのボーカルがいいのが前提ですが、ギルのギターはとても重要な要素です。いちろさんがバンドで演奏するノアの曲も、ぜひ聴いてみたいですね。
このライブ盤は荒削りな部分もありながら、勢いはすごいものがあります。きちんとプロデューサーにコントロールされていない面白さなのかもしれません。

ヘブライ語の歌は、もちろん歌詞などわからないにもかかわらず、とても音楽的な言葉だなということは伝わってきます。

はじめまして。
♪誰が聞くのか?というブログのomiyageと申します。
私のブログでNoaについての詳しい記事ということで、
こちらに勝手にリンクを張らせて頂きました。
ありがとうございました。
今後とも宜しくお願いします。

>omiyageさん
いらっしゃいませ。

本文に書いたように、私も最初に知ったのは『Noa』というアルバムです。
ギルと二人での本作は、味のあるいい仕上がりとなっていますので、機会があればぜひともお聴きください。

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