« 本年もよろしくお願いいたします | main | Steps: Smokin' in the Pit »

January 23, 2007

●Soig Siberil: Du Cote de Chez Soig

SoigSiberil_du.jpg

Soig Siberil (g)
Alain Genty (b)
Pierre-Yves Prothais (per)
Karl Gouriou (sax)
Camel Zekri (g)

 フランスのブルターニュのCDショップで一番良く目にしたギタリストの名前はソイグ・シブレルであった。70年代後半頃から、アイリッシュ音楽に接近をしていったソイグは、80年代に入ると、Kornogを結成する。ほとんどがブルターニュ出身のメンバーで構成されたKornogは、ブルターニュのケルト音楽にスコットランドやアイルランドのスタイルをうまく融合させ、ブルターニュを代表するグループとして高い評価を得るようになる。アルバム製作と並行して積極的にヨーロッパやアメリカのツアーを行い、ブルターニュの音楽を知らしめていった。

 Kornogでの活動を通じ、より深くブルターニュの音楽へと入り込んでいったソイグは、その後も様々なグループを編成して演奏活動を続けていく。その後、90年代に入ると、アコースティック・ギターを中心とした演奏をおこなうようになり、ギターのソロアルバムをリリースしていく一方、各地のケルト音楽フェスティバルなどにも積極的に参加していく。

 今回取り上げたアルバムは、2003年にリリースしたブルターニュ西部の町でのライブアルバム。アルバムのタイトルは「ソイグの家の方へ」といった意味だと思うが、このタイトル自体が、このユニット名になっているようでもある。ソイグのギターの音色は、ピエゾタイプのピックアップの音色が強いせいか、決していいものとはいえないが、ギター2本、ベースとパーカッション、それとサックスを加えた独特の編成による音楽は、アイルランド、スコットランドのケルト音楽とはまた異なる趣きのものでとても魅力的だ。特に、フレットレスベースとサックスが加わっていることが大きいのかもしれないが、とてもうまくジャズの要素を取り入れているように感じる。

 収録曲の約半数がトラッド、残りはソイグともう一人のギタリストキャメル・ゼクリのオリジナル。あいにく不勉強のため、トラッドに関しては原曲をほとんど聴いたことがないのだが、全編を通じ、5人によるグループの演奏スタイルが貫かれていて、最初から最後までスムーズに耳に入ってくる。

 フランス人でケルト音楽の影響色が濃いギタリストとしては、ピエール・ベンスーザンが一番知られていると思うが、素晴らしいギタリストはまだまだたくさんいる。アンサンブル・スタイルということでも含め、このソイグの演奏は非常に質の高いものと言って間違いはない。

 残念ながら、日本では彼のアルバムを入手するのは難しそうである。ジャケットの画像にリンクを張っているのは本アルバムの発売元のレーベルで、インターネット経由で購入できそうではある。ただ、日本に発送してくれるのどうかについては未確認なのでご注意いただきたい。

コメントする

(初めてのコメントの時は、コメントが表示されるためにこのブログのオーナーの承認が必要になることがあります。承認されるまでコメントは表示されませんのでしばらくお待ちください)